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警察官の共済組合でもらえるお金|傷病手当金は辞めても続く場合がある

警察官の共済組合でもらえるお金|傷病手当金は辞めても続く場合がある 警察官を辞めたい人へ
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警察官として働いていると、給料から毎月「共済組合掛金」が引かれています。金額は見ているはずなのに、それが何に使われていて、自分が何をもらえるのかを説明できる人は、そう多くないと思います。私も在職中はそうでした。

共済組合は民間企業でいう健康保険にあたる制度ですが、中身は健康保険より手厚い部分があり、しかも「知らないと請求しないまま終わる」給付が含まれています。とくに体調を崩したときのお金は、制度の名前を知っているかどうかで結果が変わります。

私は警察官として約17年勤務し、40代で退職しました。在職中に適応障害で休職し、そのときに初めて自分が何に守られているのかを調べました。この記事では、根拠になる条文を示しながら、警察官の共済組合で受けられる給付を整理します。読んでいる方が現職なら、いま知っておくだけで選べる手が増えます。

この記事がオススメの人
  • 共済組合の掛金は払っているが、何がもらえるのか分からない方
  • 体調を崩して休むかどうか迷っていて、収入が不安な方
  • 休職中で、このまま辞めたら収入がどうなるのかを知りたい方
  • 退職を考えていて、共済を抜けた後の備えを整理したい方

共済組合の給付は「法定給付」と「附加給付」の二階建て

都道府県警察の警察官は地方公務員なので、根拠になるのは地方公務員等共済組合法です。同法は短期給付の種類を次のように定めています。

この法律による短期給付は、次のとおりとする。
一 療養の給付、入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費及び移送費
二 家族療養費、家族訪問看護療養費及び家族移送費
二の二 高額療養費及び高額介護合算療養費
三 出産費/四 家族出産費/六 埋葬料/七 家族埋葬料
八 傷病手当金/九 出産手当金

地方公務員等共済組合法 第53条(e-Gov法令検索・抜粋)

ここまでが法定給付、つまり法律が最低限として定めているものです。そのうえで、同法はこう続けます。

組合は、政令で定めるところにより、前条第一項各号に掲げる給付に併せて、これに準ずる短期給付を行うことができる。

地方公務員等共済組合法 第54条(e-Gov法令検索)

これが附加給付です。組合が独自に上乗せする給付で、代表的なものが医療費の自己負担分を後から戻してくれる仕組みです。上乗せ部分は組合ごとに内容が違うので、金額や条件はご自身の所属の共済組合で確認してください。この記事で条文を引けるのは法定給付までです。

傷病手当金|条文で確認する4つの要件

休むかどうかで迷っている方に、いちばん関係するのがこれです。条文はこうなっています。

組合員(略)が公務によらないで病気にかかり、又は負傷し、療養のため引き続き勤務に服することができない場合には、勤務に服することができなくなつた日以後三日を経過した日から、その後における勤務に服することができない期間、傷病手当金を支給する。

地方公務員等共済組合法 第68条第1項(e-Gov法令検索)

押さえるべき点を4つに分けます。

① 「公務によらないで」が入口の分かれ道

条文は「公務によらないで」と限定しています。公務が原因の病気やけがは、傷病手当金ではなく公務災害の補償で扱うという整理です。どちらに当たるかで手続きも金額もまったく変わるので、原因が仕事にあると考えられる場合は、最初にそこを確認してください。

② 額は「標準報酬月額の平均 ÷ 22 × 3分の2」

第68条第2項は、支給を始める日以前の直近12か月の標準報酬月額の平均額の22分の1を出し、その3分の2を1日あたりの額とすると定めています。ざっくり言えば月給のおよそ3分の2です。

ここで注意したいのは、基準になるのが「標準報酬」であって、残業代込みの手取りではないことです。退職手当が本俸で計算されるのと同じで、公務員のお金の計算は「年収」ではなく別の基準で動きます。

③ 期間は通算1年6か月(結核性は3年)

傷病手当金の支給期間は、同一の病気又は負傷(略)については、(略)三日を経過した日(略)から通算して一年六月間(結核性の病気については、三年間)とする。

地方公務員等共済組合法 第68条第4項(e-Gov法令検索)

「通算して」と書かれている点が大事です。連続した1年6か月ではなく、支給を受けた日を積み上げて1年6か月ということです。途中で復帰して、また休むことになった場合も、受けた分は積み上がります。

④ 給与が出ている間は、その分だけ支給されない

傷病手当金は、その支給期間に係る報酬の全部又は一部を受ける場合(略)には、その受ける金額を基準として政令で定める金額の限度において、その全部又は一部を支給しない。

地方公務員等共済組合法 第71条第1項(e-Gov法令検索)

ここが実務でいちばん誤解されるところです。病気休暇のように給与が支給されている間は、傷病手当金は出ません(出ても差額分だけです)。傷病手当金が実際に効いてくるのは、給与の支給が止まった、あるいは大きく減ったあとです。

私の場合も、診断が出てすぐ休職になったわけではありませんでした。まず年次休暇を消化し、そのあとに病気休暇へ移りました。病気休暇の間は給与が出ています。私の記憶では3か月ほどは支給されていたと思いますが、正確な期間と割合は自治体の条例で決まるので、ご自身の人事担当に確認してください。「休んだ瞬間に無収入になる」わけではないという点だけは、先に知っておいて損がないはずです。

辞めても続く場合がある|第68条第5項

休職中の方から見て、いちばん怖いのは「辞めたら収入が完全に止まる」ことだと思います。ここについて、条文には明確な定めがあります。

一年以上組合員であつた者が退職した際に傷病手当金を受けている場合には、その者が退職しなかつたとしたならば前項の規定により受けることができる期間、継続してこれを支給する。ただし、その者が他の組合の組合員の資格を取得したときは、この限りでない。

地方公務員等共済組合法 第68条第5項(e-Gov法令検索)

条件は2つです。組合員だった期間が1年以上あることと、退職した時点で傷病手当金を受けていること。この2つを満たしていれば、退職後も、辞めなかった場合に受けられたはずの期間まで支給が続きます。

ただし、前の章のとおり「受けている」状態になるには、給与の支給が止まっているか大きく減っている必要があります。病気休暇で給与が満額出ている段階で辞めると、この規定には乗りません。辞める時期の判断が、そのまま受け取れるお金に直結します。

細かい要件と手続きは所属の共済組合が窓口です。辞めると決める前に、必ず一度は確認してください。私は在職中、この規定を知りませんでした。

共済を抜けたあと、健康保険と年金はどうするか

退職すると組合員ではなくなるので、健康保険と年金を自分で選び直すことになります。一般には次の3つが挙げられます。

  1. 任意継続(共済に一定期間そのまま残る)
  2. 国民健康保険に加入する
  3. 家族の扶養に入る

ネット上の解説は 1 と 2 の比較で終わっていることが多いのですが、私が実際に選んだのは 3 でした。妻の扶養に入り、国民年金は第3号被保険者になりました。この形なら、切替にかかる実費はほとんど発生しません。

ただしこれは配偶者が厚生年金の被保険者(第2号)であることが前提で、収入の要件もあります。誰でも選べる道ではありませんし、退職後の収入が増えれば扶養から外れて切り替え直しになります。「そういう選択肢もある」という程度に受け取ってください。

まとめ|制度は、名前を知らないと使えない

  • 共済組合の短期給付は法定給付+附加給付の二階建て(第53条・第54条)。上乗せ部分は組合ごとに違う
  • 傷病手当金は公務によらない病気・けがで、3日を経過した日から、標準報酬の平均÷22×3分の2通算1年6か月(第68条)
  • 給与が出ている間は支給されない(第71条)。効いてくるのは給与が止まったあと
  • 1年以上組合員で、退職時に受けていれば、辞めても支給は続く(第68条第5項)
  • 共済を抜けたあとは任意継続・国保・家族の扶養。私は配偶者の扶養+国民年金第3号を選んだ

在職中の私は、毎月引かれている掛金が何に対応しているのかを知りませんでした。知ったのは、体調を崩して調べざるを得なくなってからです。元気なうちに一度だけ目を通しておくと、いざというときに選べる手が増えます。それだけのために書きました。

休職したときのお金の動きは、私自身の給与明細と退職手当計算内訳書をもとに別の記事にまとめています。退職の手続き全体は次の記事が入口です。

いま休職と退職のどちらを選ぶかで迷っている段階でしたら、制度の前に、私がどう判断したかを読んでみてください。

※本記事は条文と公開情報にもとづく一般的な整理であり、個別の事案についての判断ではありません。給付の可否・金額・手続きは所属の共済組合および人事担当にご確認ください。引用した条文はいずれもe-Gov法令検索で確認したものです(2026年8月時点)。

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