「退職を決めたけれど、具体的にどんな手続きが必要なのか分からない」。警察官の退職を考えている方の中には、こうした不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
警察官の退職手続きは、一般的な会社員とは異なる部分が多くあります。共済組合の脱退、年金の切り替え、退職金の請求、そして警察職員生活協同組合(警生協)の手続きなど、やるべきことは少なくありません。
私自身、43歳で約20年間勤めた警察官を退職しましたが、正直なところ退職手続きについては事前にもっと調べておけばよかったと感じています。この記事では、警察官の退職に必要な手続きを時系列で整理し、元警察官の視点から注意点を解説します。
- 警察官の退職を決意したが、手続きの流れが分からない人
- 退職金や共済組合の脱退手続きについて知りたい人
- 健康保険や年金の切り替えで失敗したくない人
- 退職後にハローワークで何ができるか知りたい人
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退職前にやるべきこと|辞める前の準備が最も重要

退職手続きの第一歩は、実は退職届を出す前にあります。ここでの準備が、退職後の生活の安定を大きく左右します。
退職の意思表示と退職届の提出
警察官の退職は、まず直属の上司に退職の意思を伝えることから始まります。一般的には退職希望日の1〜3か月前に伝えるのが望ましいとされています。
正式には「辞職願」を所属長に提出します。民間企業の「退職届」と異なり、公務員の場合は任命権者の承認が必要です。提出後すぐに退職が確定するわけではない点に注意してください。
退職前に確認すべき3つのこと
退職届を出す前に、以下の3つを必ず確認しておきましょう。
- 退職金の概算額:所属の人事・厚生担当に問い合わせれば、おおよその金額を教えてもらえます
- 有給休暇の残日数:退職前に消化できるよう計画を立てておくことが大切です
- 家計のシミュレーション:退職後の収入と支出を具体的に計算しておきましょう
私の場合、退職を決断する前に妻と一緒にライフプラン表を作成し、将来の収支をシミュレーションしました。退職後の家計がどうなるのかを数字で確認できたことで、不安をかなり減らすことができました。
退職金の仕組み|警察官はいくらもらえるのか
警察官の退職金は、正式には「退職手当」と呼ばれます。金額は勤続年数と退職時の給料月額、そして退職理由によって決まります。
退職金の計算方法
退職手当の基本的な計算式は以下の通りです。
退職手当 = 退職時の給料月額 × 支給率 + 調整額
支給率は勤続年数と退職理由(自己都合か定年か)によって異なります。自己都合退職の場合、定年退職と比べて支給率が低くなります。勤続20年の場合、自己都合退職の支給率は定年退職の約6〜7割程度になるのが一般的です。
退職金の支給時期
退職金は退職後すぐに振り込まれるわけではありません。一般的に、退職日から1〜2か月後に指定口座に振り込まれます。退職直後の生活費は別途確保しておく必要があります。
退職金を受け取ったら、その使い道を事前に計画しておくことが大切です。生活防衛資金として一定額を確保した上で、残りを資産運用に回すのも一つの方法です。
共済組合・警生協の脱退手続き
警察官は「警察共済組合」に加入しています。退職すると共済組合から脱退する手続きが必要になります。併せて、警察職員生活協同組合(警生協)の手続きも行います。
警察共済組合の脱退
退職すると、警察共済組合の資格は自動的に喪失します。ただし、以下の手続きが必要です。
- 組合員証(健康保険証)の返却:退職日に返却します。扶養家族の分も忘れずに
- 年金に関する届出:共済組合から退職届の提出を求められます
- 貸付金の返済:共済組合から貸付を受けている場合は一括返済が求められることがあります
警生協の退職手続き
警生協では、新火災共済、生命・傷病共済、新長期生命80、終身生命共済、財形年金共済の5つの共済事業について、退職時に「退職組合員加入申込書兼脱退手続等申込書」で一括して手続きを行うことができます。
退職後も一部の共済は「退職組合員」として継続加入できるものがあります。必要な保障と保険料のバランスを考えて判断しましょう。
退職手続きについて不安がある方は、在職中から転職エージェントに相談しておくのも一つの方法です。退職の段取りについてもアドバイスを受けることができます。
健康保険と年金の切り替え|期限に注意

退職後に最も急ぎで対応が必要なのが、健康保険と年金の切り替えです。手続きには期限があるため、退職前から準備しておくことが重要です。
健康保険の3つの選択肢
退職すると共済組合の健康保険資格を失います。次の健康保険は以下の3つから選ぶことになります。
- ① 共済組合の任意継続:退職前に1年以上加入していれば、退職後も最長2年間継続できます。退職日の翌日から20日以内に手続きが必要です
- ② 国民健康保険:市区町村の窓口で加入手続きを行います。退職日の翌日から14日以内が期限です
- ③ 配偶者の扶養に入る:配偶者が会社員で社会保険に加入している場合、年収130万円未満の見込みであれば扶養に入ることができます
どの選択肢が最も保険料が安くなるかは、退職時の収入や家族の状況によって異なります。退職前に各選択肢の保険料を試算しておくことをおすすめします。
年金の切り替え
警察官は共済年金(厚生年金に統合済み)に加入しています。退職後に再就職しない場合は、国民年金(第1号被保険者)への切り替えが必要です。
手続きは市区町村の年金担当窓口で行います。退職日の翌日から14日以内が手続き期限です。配偶者も第3号被保険者から第1号に変わるため、一緒に手続きを行いましょう。
退職後の手続き|ハローワークと税金

退職後にもいくつかの重要な手続きがあります。特にハローワークでの手続きは、知っているかどうかで大きな差が出ます。
ハローワークへの登録
警察官を含む公務員は雇用保険の対象外です。そのため、一般的な「失業保険(基本手当)」は受給できません。しかし、退職手当の額が雇用保険の失業等給付相当額に満たない場合は、「失業者の退職手当」として差額を受給できる制度があります。
また、ハローワークでは職業訓練の受講申し込みも可能です。私自身、退職後にハローワークの職業訓練を利用して、WebマーケティングやWeb制作について学びました。新しいキャリアを切り拓くための有効な手段です。
確定申告と住民税
年の途中で退職した場合、翌年に確定申告が必要になることがあります。在職中は年末調整で済んでいた税務手続きを、自分で行う必要があります。
また、住民税は前年の所得に基づいて課税されるため、退職後も前年分の住民税の支払いが続きます。退職後の収入がない時期に住民税の納付書が届くことがあるため、事前に金額を把握しておくことが大切です。
退職前1か月の段取りタイムライン
退職手続きは「いつ何をやるか」を順序立てて進めると、ぐっと楽になります。私が実際に退職前にやった1か月のタイムラインを共有します。
退職1か月前:上司への意思表明と退職届の提出
警察組織では、退職の意思を伝えるタイミングが他の職場と少し違います。最低1か月前、できれば2か月前に直属の上司に伝えるのが一般的です。三交代勤務のサイクルを考慮し、私は当番明けの非番日に上司と話す機会を設定しました。
退職届は所定の書式があります。書き直しや追記の手間を省くため、事前に総務担当者から最新の様式を入手しておくとスムーズです。
退職2週間前:共済組合・警生協の手続き準備
共済組合の脱退届、警生協の解約届、住宅貸付や物資購買の精算など、書類の数は意外と多いです。私の場合、共済組合の手続きで「家族の分の保険資料」が必要になり、慌てて家から取りに帰った経験があります。
手続きで必要な書類は退職2週間前にはすべて手元に揃えておくと安心です。
退職1週間前:私物整理と引き継ぎ書類の作成
業務上の引き継ぎ書類、ロッカーや机の私物整理、貸与品(制服・装備品)の返却準備を進めます。装備品の返却漏れがあると後日呼び出されることがあるため、リストを作って一つずつチェックしました。
実際の手続きで詰まったポイント
退職手続きはスムーズにいきそうで、実際にやってみると「ここで詰まる」というポイントがいくつかあります。私が実際に経験した3つの落とし穴をお伝えします。
落とし穴1:健康保険の切り替えが間に合わない
退職翌日から健康保険証は使えなくなります。任意継続にするか、国民健康保険に切り替えるか、家族の扶養に入るかを退職前に決めておかないと、無保険期間が発生する可能性があります。
私は任意継続を選びましたが、申請期限が「退職日から20日以内」と短いため、退職前に書類を入手しておきました。
落とし穴2:退職金の振込時期が想定より遅い
退職金は退職日にすぐ振り込まれるわけではありません。私の場合、退職から実際の入金まで約1〜2か月かかりました。生活費の計画を立てるときは、この「タイムラグ」を考慮しないと資金繰りで困ることになります。
落とし穴3:失業給付の待機期間と給付制限
自己都合退職の場合、失業給付の受給開始までに約2〜3か月の給付制限があります。退職翌月からハローワークへ通うことになりますが、この期間は無収入になる可能性があるため、最低でも3か月分の生活費は確保しておきたいところです。
退職手続きの要は「タイミング」と「事前準備」の2点に尽きます。段取りさえ整えておけば、退職日からの新生活はスムーズに始められます。
まとめ|退職手続きは「段取り」がすべて
警察官の退職手続きは多岐にわたりますが、やるべきことを時系列で整理すれば、一つひとつは難しいものではありません。
退職前:退職金の概算確認、有給消化計画、家計シミュレーション、転職エージェントへの登録
退職時:辞職願の提出、共済組合員証の返却、警生協の手続き、貸付金の返済確認
退職後(14〜20日以内):健康保険の切り替え、国民年金への加入、ハローワークへの登録
退職後(数か月以内):退職金の受取確認、確定申告の準備、住民税の納付
退職を決意すること自体に大きなエネルギーを使いますが、その先の手続きで慌てないよう、事前に流れを把握しておくことが何よりも重要です。この記事がその一助になれば幸いです。
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