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本当に将来安泰?警察官として働くメリットと内包するリスク

働き方・キャリア

警察官という職業に興味がある人、またはすでに警察官として働いている若手の方へ向けて、警察官のメリットやリスクについて、今回はより具体的にお話していきます。前回の記事では、公務員全般に該当する内容を中心に説明しましたが、今回は警察官に特化して話を進めていきます。

警察官と一口に言っても、その業務内容は非常に細かく分かれています。例えば、地域部門(街中で見かけるお巡りさん)、生活安全部門、刑事部門、交通部門、警備部門などです。県によって多少の違いはあるものの、おおむねこの分類は共通しています。

私が勤めていた県では、各部門間の異動はほとんどなく、刑事部門の人は刑事部門に専念し、他部門へ異動することはあまりありませんでした。各部門で扱う業務は大きく異なり、求められる法律知識やスキルも異なります。このような細分化された業務内容を理解することで、警察官という職業の多様性と魅力が見えてくるでしょう。

メリット

メリット1:経済的な安定

警察官として働く最大のメリットは、経済的に安定した収入を得られることです。警察官の給与は、その所属する都道府県が公開している給与表に基づいて支給されます。基本給に加えて、住居手当(例:家賃の半額、上限3万円)、扶養手当(例:配偶者5000円、子供一人当たり1万円)、通勤手当(例:定期代実費)、夜間勤務手当、時間外手当、休日勤務手当、単身赴任手当などの各種手当が付与されます。

若手の内は給与がまだ少ないですが、年齢と階級が上がるにつれて給与額が上がっていき、贅沢をしなければ、家族と一緒に十分に暮らしていける給与が支払われるのは大きな魅力です。特に、若手警察官にとっては、このような経済的安定は将来を見据えたキャリア構築において非常に安心材料となります。

メリット2:犯罪情報をいち早く知ることができる

警察官として働くことのもう一つの大きな利点は、地域の犯罪情報をいち早く知ることができる点です。地域の治安や犯罪の動向を把握できるため、防犯意識が自然と高まり、自分や家族を犯罪から守るための知識を得ることができます。

多くの人が日常生活で触れることのないような犯罪や事故の情報に接する機会が増えることで、被害に遭いにくい立ち回り方を学ぶことができるのも警察官の特権です。

メリット3:広がる人脈

警察官として働くことで、さまざまな人と接する機会が増えます。特に地域部門に所属している場合、地域の有力者や企業の責任者と関わることもあります。このような人脈を築くことで、将来的に有利な立ち回ることができるかもしれません。人脈をうまく活用できる人にとっては、この点が大きなメリットとなります。

内包するリスク

リスク1:長時間労働と時間外手当の現実

警察官としての最大のデメリットの一つは、長時間労働です。支払われる給与に対して拘束時間が長く、正直割に合わないと感じることが多いです。私が若手の頃、実際の勤務時間で計算すると、時給200円以下になったこともありました。

特に若手警察官は「勉強だから」「経験になるから」といった理由で労働力として酷使されがちです。夜間勤務や休日勤務も多く、家族との時間を確保することが難しいこともしばしばあります。場合によっては、家族旅行が急にキャンセルされることもあり、家族の理解と協力がなければこの仕事を続けるのは厳しいと感じる場面も多いです。

リスク2:厳しい労働環境

昔に比べて改善されているとはいえ、警察の労働環境は依然として体育会系の文化が強く残っています。パワハラやいじめも未だに存在し、特に若い警察官にとっては精神的なプレッシャーが大きい職場です。公表されているデータでは、公務員の中でメンタルヘルス不調を原因とした休職者が職員10万人あたり2,258人にのぼり、その中でも40代前後が最も多いという結果があります。また、若年層(10代から20代)の警察官でも2割以上が休職しています。

私が勤めていた県では、休職者だけではなく警察官だけでも年間に1人程度の自殺者が出ていました。このような労働環境の厳しさは、精神的にも肉体的にも大きな負担となり得ます。

リスク3:他業種で役立つスキルが身につかない

警察官としてのキャリアを積む中で、他業種で役立つスキルを得る機会は少ないです。特に、刑事や交通部門など、専門的な業務に従事する場合、そのスキルは警察の内部でのみ通用することが多く、転職時に有利になることはあまり期待できません。

例えば、交通部門で長年働いていた人が退職後に交通事故の保険関係の仕事に就くことや、他部門の人が警備会社に再就職するケースが見られるものの、それらのポジションは限られています。また、中途退職者については、一般的に有利な就職先が少ないのが現状です。

「元警察官」という肩書は、相手によって受け取られ方が異なります。信頼されることもありますが、「元警察官ということは何か問題があって辞めたのでは?」と疑念を持たれることもあります。したがって、「元警察官」という肩書自体が一長一短と言えるでしょう。

リスク4:健康を害する勤務形態

警察官の勤務形態は、健康に悪影響を与えることが多いです。夜勤や休日出勤もあり、特に年齢が上がるにつれて体力的な負担が増します。定期的な健康診断は行われているものの、夜間勤務や徹夜が避けられない職場では、長く働き続けることが健康にとって大きなリスクとなります。

私が在職中は、退職者が亡くなった際にメールで連絡が来るようになっていたのですが、長年の身体への負担が原因なのか60代で亡くなる人が多い印象でした。

将来を見据えた転職の選択肢

警察官としてのキャリアには、多くのメリットと同時にリスクも存在します。特に長時間労働や厳しい労働環境、転職のしづらさなど、いろいろな要因で精神的にも肉体的にも限界を迎えることがあります。このような状況に直面した際、転職を考えることは重要な選択肢の一つです。

精神的にも肉体的にも疲れ果てると、判断力や思考力が鈍ってしまうことがあります。そうなる前に、余裕がある段階で転職というキャリアチェンジの可能性を模索することが大切です。限界を迎えたときに追い詰められないためにも、事前に準備をしておくと安心です。

転職そのものにはリスクがありますが、転職活動をすること自体にはリスクはありません。まずは、自分の市場価値を知り、どのようなスキルが現在の市場で求められているのかを理解することが、今後のキャリアパスを考えるきっかけになります。

他業種への転職を通じてキャリアアップを目指したり、スモールビジネスを始めたりすることで、警察官の職場では得られない新たな可能性が広がります。警察官として培った経験や人脈を活かし、副業や起業に挑戦すれば、収入の多様化や将来性のあるキャリアを築くこともできるでしょう。もし今の職場で悩みを抱えているなら、転職サイトを利用することで、より良い環境で働くチャンスを見つけることができるかもしれません。

まとめ:未来の選択肢を広げるために

警察官として働くことには大きなやりがいがありますが、同時に多くのリスクも伴います。特に長期的に見た場合、労働環境や健康リスク、スキルの汎用性の低さは、転職を考えるきっかけになるかもしれません。

あなた自身のキャリアと人生のバランスを見直し、今後の選択肢を広げるためにも、転職を一つの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。新しいキャリアの可能性を探り、警察官としての経験を活かした新しい挑戦をしてみることが、あなたにとっての次の一歩となるかもしれません。

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