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地震保険は本当に必要?火災保険との違いを知り、賢く備えよう

保険・リスク管理

日本は「地震大国」として知られ、過去には多くの大規模地震が発生してきました。そのため、突然の地震による被害に備えるために、地震保険への加入を検討している方も多いでしょう。しかし、地震保険には多くの誤解があり、「加入すればすべて安心」と考えている方も少なくありません。

私自身、先月発生した大きな地震で自宅が被害を受け、地震保険を利用しましたが、その補償内容やシステムが想像していたものとは違う点がいくつもありました。

そこで今回は、私の体験を基に、地震保険と火災保険の違い、地震保険の補償内容仕組み、そして加入前に知っておくべき重要なポイントを詳しく解説していきます。

もりもりもり
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火災保険を契約する際、一緒に契約を検討するのが地震保険です。地震が多い日本では加入した方が安心な気はしますが、本当に安心なのでしょうか?

この記事がおススメの人
  • 地震保険について知りたい人。
  • 火災保険と地震保険の契約を考えている人
  • 地震保険の補償額が決まる仕組みを知りたい人

大きな地震で被害を受けた私の自宅

先月、私の住む地域で大きな地震が発生し、自宅も一部損害を受けました。幸いにも大規模な被害は免れましたが、外構のタイルがひび割れたり、棚から物が落ちて床に傷がついたりするなどの被害がありました。すぐに保険会社に連絡をし、被害場所の修繕見積額を業者に依頼してました。

後日、調査担当者が自宅の被害状況を確認するため来所したので、業者に依頼していた被害見積書を提示しました。その際、調査員の方から地震保険の仕組みや、火災保険との違いについて詳しく説明を受けました。特に驚いたのは、地震保険と火災保険が全く別のシステムであるという点です。

私自身、地震保険も火災保険のように、被害が発生すれば現状復帰に必要な額を被害見積書を参考にそのまま補償されるものだと勘違いしていました。

調査員の話では、私以外にも多くの方が地震保険について同様に誤解しているということでした。

もりもりもり
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地震保険で補償額を請求する際には、被害額の修繕見積書はいらないようです。

地震保険とはどのような保険なのか

地震保険の概要

地震保険の概要は以下のとおりです。

地震保険の定義

  • 地震保険は、地震、噴火、またはこれらによる津波が原因となる火災、損壊、埋没、または流失による建物や家財の損害を補償する保険です。

運営体制

  • 地震保険は、「地震保険に関する法律」に基づき、政府と民間の損害保険会社が共同で運営しています。政府が再保険として補償する仕組みを採用しており、公共性の高い保険です。

契約方法

  • 地震保険は単独で契約することはできず、火災保険に付帯して契約する必要があります。ただし、火災保険と同時に契約する必要はなく、火災保険に既に加入している場合でも後から地震保険を追加で契約することが可能です。

補償内容

  • 補償の対象となるのは建物と家財の両方、またはどちらか一方です。補償される損害には、火災、損壊、埋没、流失などが含まれます。

保険金額

  • 地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内で契約でき、建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限です。

保険料

  • 保険料は、建物の構造、所在地、耐震性能などに基づいて算出されます。耐震性能が一定の基準を満たす建物には割引が適用され、長期契約も割安になります。

保険金の支払い

  • 保険金は、損害の程度(全損、大半損、小半損、一部損)に応じて、保険金額の一定割合で支払われます。例えば、全損の場合には保険金額の100%が支払われます。

火災保険の概要

地震保険を契約する際、必要となる火災保険についての概要は以下のとおりです。

火災保険の定義

  • 火災保険は、損害保険の一種で、火災、落雷、風水害などによる建物や家財の損害を補償する保険です。建物とは建物本体や門、塀、物置などを指し、家財とは建物内の家具、衣服などを指します。

運営体制

  • 火災保険は、民間の損害保険会社によって運営されます。各保険会社が独自の商品を提供し、代理店やオンラインプラットフォームを通じて契約が行われます。

契約方法

  • 火災保険は地震保険と違い、火災保険のみで契約することが可能です。

補償内容

  • 火災保険の補償内容は広範囲に及びます。
    • 火災: 失火、もらい火、放火などによる火災の損害。
    • 落雷: 落雷による損害。
    • 破裂・爆発: ガス漏れなどによる破裂・爆発の損害。
    • 風災・雹災・雪災: 風、雹、雪による損害。
    • 水災: 台風や豪雨による洪水などの損害。
    • 建物外部からの物体の落下・飛来・衝突: 自動車の飛び込みなどによる損害。
    • 漏水などによる水ぬれ: 給排水設備の事故や他人の戸室で生じた事故に伴う漏水による損害。
    • 騒擾・集団行動などに伴う暴力行為: 集団行動などに伴う暴力行為・破壊行為による損害。
    • 盗難による盗取・損傷・汚損: 盗難による盗取や損傷・汚損などの損害。
    • 不測かつ突発的な事故(破損・汚損): 誤って自宅の壁を壊した場合などの偶然な事故による損害。

保険金額

  • 保険金額は、建物や家財の再調達価額(新価)を基準に設定することが一般的です。
    • 再調達価額: 建物の所在地、構造、部材、延べ床面積などから算出される金額。
    • 時価額: 時間の経過とともに進む建物の老朽化を加味した評価額(現在はあまり使用されていない)。
    • 比例てん補: 保険金額が再調達価額に満たない場合、比例して保険金が削減されることがあります。
    • 超過保険: 保険金額が再調達価額を超える場合、原則として超過分は保険金が支払われません。

保険料

  • 保険料は、建物の構造、所在地、耐震性能、補償範囲などに基づいて算出されます。
    • 補償範囲の選択: 補償範囲を広げれば保険料は高くなり、必要ない補償を外せば保険料を抑えることができます。

保険金の支払い

  • 保険金は、損害の程度に応じて支払われます。
    • 損害の確認: 保険会社が損害を確認し、保険金額と実際の損害額を比較して支払いを行います。
    • 支払い方法: 保険証券が発行され、保険金が支払われるまでに1週間〜2週間程度かかります

地震保険と火災保険の違い

地震保険と火災保険の違いについて、基本的な部分から説明します。

まず、火災保険は、火災や水害、台風などの災害で住宅や家財に被害があった場合、または突発的な事故によって損害が生じた際に、その被害額に基づいて補償を行う保険です。つまり、実際に発生した被害分を補填する形で保険金が支払われます。

一方、地震保険はこれとは全く異なる仕組みです。地震保険は国が管理しており、保険会社は窓口の役割を果たしているに過ぎません。補償基準は全国で統一されており、どの保険会社に加入していても支払われる保険金額に大きな差はありません。また、地震保険の目的は被害の補填ではなく、被災後の生活を立て直すための支援という性質であることを理解しておくことが重要です。

地震保険の仕組み:被害額と補償額の決定方法

建物被害の認定方法

地震保険の補償額は、火災保険のように実際の被害額を補填するわけではなく、被害の程度に応じて支払われる金額が決まります。具体的には、保険で定められたチェック項目に基づいて、建物の被害がどれくらいの割合か評価されます。

たとえば、木造建物の場合、チェック対象は内壁基礎屋根外壁の4つです。これらに損傷がない場合、たとえ他の部分に被害があっても、建物全体としては「被害なし」とみなされ、保険金が支払われないこともあります。

鉄骨造の建物では、チェック対象は開口部外壁のみで、基礎部分に損傷があってもそれは考慮されません。

補償額の算定方法

さらに、地震保険の補償額は、被害の割合に応じた段階的なシステムです。

たとえば、建物の時価の3%から20%未満の被害であれば、地震保険金額の5%が支払われるといった具合です。つまり、大きな被害があっても、補償額が建物再建に十分でない場合が多いのです。

例としては3000万円で自宅を建てて補償額3000万円の火災保険に加入したとしましょう。地震保険は上限1500万円まで掛けたとしてこの家が地震の被害に遭いました。この建物の構造は軽量鉄骨造であり、地震の被害として外壁の一部にヒビ、基礎が砕けてカーポートが倒壊、家財道具が転倒したことにより床が大きく凹んだとしましょう。この場合は外壁のヒビだけが被害と認められ、大半損と認定されれば建物の時価60%を上限として補償額の60%が支払われるシステムです。建物時価が2000万円と判断された場合は、

2000万円(建物時価)×60%=1200万円 > 1500万円(補償額)×60%=900万円

となり、建物時価の60%より補償額が低いので900万円支払われることになります。

建物時価の算定方法

ここで気になるのが時価のどの様な基準で算定されるかです。

建物の時価は、建物の取得価額から、その取得時から損害が生じた時までの期間の減価償却費を差し引いた金額として計算されます。具体的には、建物の主要構造部(軸組、基礎、壁、屋根等)の状態を評価し、時価額を決定します。

時価の算定には、減価償却が適用されます。建物や家財の取得価額から、経過年数に応じた減価償却費を差し引くことで、現行の時価が決定されます。

仮に建物価格が3000万円で購入した木造住宅であっても、地震被害に遭った際に築年数が25年経過していれば、建物価値は無価値なってしまうのです。

そうであれば、建物の構造にもよりますが、築年数が20年以上の物件であれば補償額はほぼ無いに等しいので地震保険に入る価値があるのか疑問が残るところです。

トピック

東日本大震災で地震保険の申請をした中で、被害区分ごとの割合は

  • 一部損(補償額5%):支払保険金約70%
  • 半損(補償額30%~60%)支払保険金約25%
  • 全損(補償額100%)支払保険金約0.5%

とのことです。あれだけの大災害であっても満額保険料を支払てもらった割合が約0.5%程度であることを考えると、私たちが考えるような被害の認定をされることはなく、保険による補償額も自宅を再建するには程遠い金額になるようです。

家財の補償:対象となるものと対象外のもの

地震保険には建物だけでなく家財の補償も含まれていますが、補償の範囲は限定的です。保険で定められた「家財項目」に該当するものだけが補償対象となり、パソコンは補償される一方で、タブレットは対象外となります。

たとえば、地震でタブレットの画面が割れたとしても、その損害は補償されません。

また、家財の補償も建物と同様に、被害の割合に応じて支払われる仕組みです。家財の時価の10%から30%未満の被害がある場合、地震保険金額の5%が支払われる一部損とみなされます。このように、家財の補償も限定的であるため、地震保険に過度な期待を持たない方が良いでしょう。。

地震保険に潜む誤解とトラブルの原因

地震保険に関する最大の誤解は、「火災保険と同じように、被害を受ければ補償される」という考え方です。実際には、地震保険は全く異なるシステムであり、被害の程度や特定のチェック項目に基づいて保険金が支払われます。

多くの契約者が、地震保険について十分な説明を受けないまま契約をしているため、実際に地震で被害を受けた際に「思っていたより補償が少ない」と感じることが多いようです。

調査員の話によれば、契約時に地震保険の特性を理解せず加入したため、後になって「保険料を払っているのに補償されないのは詐欺だ」と怒り出す契約者が少なくないそうです。

こういったトラブルを避けるためには、保険に加入する際に地震保険のシステムや特性をしっかり理解しておくことが非常に重要です。

地震保険の目的と実際に補償される範囲

地震保険は、住宅を再建するためのものではなく、被災後の生活立て直しを支援することを目的としています。実際に、地震保険では火災保険の半額までしか補償金を設定できないため、建物が崩壊しても再建に必要な費用には到底及びません

そのため、地震保険を利用して自宅を建て直すという期待は現実的ではありません。地震保険はあくまで、被災直後の当面の生活を支えるための資金として考え、地震保険に過度な期待をしないようにしましょう。

被災時の最悪パターン

これらの地震保険の特性を考えると、被災時の最悪のパターンは、高額な地震保険に加入しつづけ預貯金が無い状態で地震で自宅が崩壊し、住宅ローンだけが残るパターンです。

自宅が崩壊した場合は解体費用が200万円~300万円かかってしまう場合もあり、仮に地震保険の支払いを受けても新たに自宅を再建するだけの資金が残らず、さらに多額の住宅ローンが残っているので、新たなローンも組めないため、自宅の再建もできないという厳しい現実に直面する可能性もあるのです。

このような事態に直面しないよう、

  • 地震保険に過度な期待をしないこと
  • 大きすぎる住宅ローンを組まないこと
  • 被災時に備えてある程度の預貯金を確保すること

が重要です。

もりもりもり
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地震大国である日本に住む以上は、一生涯で一度はそれなりの規模の地震被害に遭う可能性があると考えていた方がよいでしょう。

まとめ

地震保険は、日本に住む私たちにとって検討すべき重要な保険の一つですが、そのシステムや補償内容をしっかり理解した上で加入することが必要です。「被害があれば補償される」といった期待を持たず、保険金が支払われる条件や補償額の範囲を正確に把握し、自分自身でリスクに備えることも重要です。

また、大規模な地震が発生すれば、多くの人が同時に保険金を請求するため、地震保険のシステム自体が十分に機能しない可能性もあります。地震保険に頼るだけでなく、日常から自分自身でできる備えを整えておくことが、より安心して生活するための鍵となります。

以上が、地震保険についての理解を深め、加入を検討する際に知っておくべきポイントです。自分にとって本当に必要かどうかをしっかり考え、万が一に備えて、地震保険を適切に活用しましょう。

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