「賃貸か持ち家か」というテーマは、日本において長らく議論されてきたテーマでです。日本では、昔から「家を持って一人前」というような住宅を取得することを当たり前とするような価値観があります。しかし、住宅を購入して後悔する人がいることも事実です。
この記事では賃貸と持ち家のどちらがお得であるかを検討し、その理由も含めて解説していきます。
- 住宅の購入を検討している人
- 賃貸と持ち家を迷っている人
- 資産形成に失敗したくない人
「持ち家は人生で一番高い買い物」だと言われます。住宅購入後に後悔しないように購入前にしっかり検討してみましょう。
目次
住まいの選択は人生設計の第一歩
日本では仕事に就いて結婚し、子供ができて住宅を購入といった価値観が以前では主流でした。しかし、現在では価値観の多様化もあり、結婚をしない人、子供を持たない人、住宅を購入しない人も増えてきています。
このような多様化する中で住宅を購入するかどうかは個人の価値観に左右されます。「住宅は人生で一番高い買い物」ともいわれ、住宅を購入することが今後の人生だけでなく資産形成にも大きな影響を与えるので慎重に判断したいところです。
近年の住宅事情
このグラフは「世帯主の年齢別持ち家の比率の推移」に関するグラフです。このグラフを見ると年代が進むにつ入れて若年層の持ち家比率が下がっていくことです。
近年の結婚の晩婚化や若年層の所得の低下等が若年層の持ち家比率低下の原因と考えられます。
「住宅の所有の関係別住宅数割合」のグラフを見ると、どの年代も持ち家の比率は約60%を維持していることが分かります。
「持家数と1世帯あたり平均人員」のグラフを見ると年代が進むにつれて持家数が増加しおり、それに反比例するように1世帯当たりの平均人員が下降していることが分かります。
これらのデータから世帯人数少ない住宅が増加しているという現状と今後の日本の人口減少から空き家の数が増加すること、長期的には中古住宅が下落傾向となるであろうこと、中古住宅の資産価値は物件により大きく左右されることが推測されます。
今後、日本中に空き家が増えていくことは確実なようですね。
賃貸か持ち家
結論から言うと「どちらが必ずお得」という正解はありません。各家庭や個人の状況、ライフスタイル、価値観などによって最適な選択肢は異なります。
賃貸にも持ち家にもそれぞれメリット・デメリットがありますが、一度、住宅を買ってしまうと売却には大きなハードルがあるので、持ち家を検討する人は十全にメリット・デメリットを把握して選択する必要があります。
賃貸と持ち家のメリット・デメリット
賃貸のメリット・デメリットを見ていきましょう。
賃貸のメリット
賃貸住宅の一番のメリットは、柔軟に住まいを変えられる点です。転職や転勤、家族構成の変化に応じて簡単に住まいを変えることができ、他にも以下のようなメリットがあります。
- 負担が減少する可能性
- 企業によっては家賃補助制度を設けているところがあり、家計への負担を軽減できる場合があります。
- 災害時のリスク軽減
- 賃貸住宅では建物の修繕費は基本的に大家側の負担になるため、地震や台風などの災害で損傷した際のリスクが限定的です。
- 予測しやすい生活費
- 月々の家賃が固定されており、予想外の修繕費や追加費用が発生しにくいです。
- 居住地に縛られない
- 転勤や家族の都合に合わせて引っ越しがしやすいため、人生の選択肢が広がります。
賃貸のデメリット
一方で、賃貸にはデメリットもあります。
- インフレによる家賃上昇リスク
- 家賃は市場の影響を受けやすく、インフレが進むと家賃も上がる可能性があります。
- 所有物にはならない
- 長期間住み続けても、建物や土地が自分の資産にはなりません。
- 敷金や礼金の負担
- 新しい住居に移る度に敷金・礼金がかかり、引っ越しコストが高くなる場合があります。
持ち家のメリット
持ち家の一番のメリットは、土地や建物が自分の所有物になるという点です。
- 資産になる
- 取得した土地・建物の価値が上昇する可能性があるため、不動産投資の一環として考えることができます。
- 住宅ローン控除の適用
- 住宅ローンを利用する場合、税制優遇が受けられます。
- 自由度の高さ
- 注文住宅は設計時に、中古物件でもリノベーション等で外観や間取り、内装等を理想の形に変えることができます。
- 団体信用生命保険
- 住宅ローンに加入すると、万が一死亡した場合、ローンの残債が0になる団体信用保険が付帯しており、生命保険の代わりになります。
持ち家のデメリット
持ち家には、以下のようなデメリットも存在します。
- ローン負担が重い
- 住宅ローンの返済が数十年単位に及ぶことが多く、継続的に家計に大きな影響を与えます。
- 資産価値の低下リスク
- 購入後、地価の下落や建物の老朽化により資産価値が減少する可能性があります。
- 流動性の低さ
- 転勤や家族構成の変化に伴って住宅の売却が必要になった場合でも、簡単に売却できないことがあります。
- 維持費がかかる
- 外壁の補修やリフォームなど、定期的な維持費用が必要です。
ライフスタイルに応じた住まい選びの最適解
ここまで賃貸と持ち家のメリット・デメリットについて解説してきましたが、実際にはどのような人に賃貸、持ち家が向いているのか解説していきます。
賃貸に向いている人
賃貸は容易に転居できる点が最大のメリットです。
収入が安定しない人
賃貸の場合は収入が減少した場合は家賃の低い物件に転居することが容易です。
35年もの期間安定して住宅ローンを支払うことができる人以外は賃貸の方がリスクが少なく向いています。
働く場所が一定でなく転居の可能性がある人
転勤や転職で持ち家から遠い場所が勤務地となった場合、通勤などの負担が重く、場合によっては単身赴任を選択しなければならない可能性があります。
賃貸であれば働く場所の近くに転居することでこの問題を解消可能です。
ライフスタイルに合わせて住居を変えたい人
単身者世帯や夫婦のみ世帯、夫婦子供あり世帯等のように、居住する人数や家族構成で必要な部屋の広さや間取りは変わってきます。
はじめは夫婦のみ世帯であっても、子供ができると部屋数が追加で欲しくなりますし、子供が巣立った後の夫婦のみ世帯であれば部屋の数が多すぎても困ります。
賃貸であればその時々で最適な間取りの部屋へ転居することができるので、ライフスタイルに合わせて間取りや部屋数を変えていきたいと思う人には賃貸がおススメです。
積極的に資産形成をしたい人
一般的に賃貸は持ち家に比べて金銭的負担が小さいです。
持ち家の場合は毎月の住宅ローンの他、毎年の固定資産税や長期的にみてかかる修繕費、リフォーム費用などの負担があります。
また、企業によっては従業員へ住宅補助を出している企業もあります。
そのため、ほとんどの場合で賃貸が資産形成をする上で圧倒的に有利となります。
持ち家が向いている人
持ち家の最大のメリットは土地や建物が自分の所有物になることです。
安定した収入がある人
持ち家の場合は最長35年間も住宅ローンを払い続ける必要があり、固定資産税や修繕費、リフォーム費用などの長期的に見て必要となる負担が大きいです。
これらの支払いが問題なくできるような安定した収入がある人に持ち家は向いています。
住居を移転する可能性がない人
持ち家は満足度は高いものの、一度購入してしまうと転居が容易ではありません。
転勤や転職等で転居が必要となった場合、自宅を売却、空き家として置いておく、自宅を賃貸に出すといった選択がありますが、売却の選択肢は不動産の流動性の低さからすぐに売却できるとは限りません。
空き家として置いておく場合は、居住していないにもかかわらず自宅の住宅ローンは払い続ける必要があり、転居先の家賃と住宅ローンの二重払いとなり負担が重くなります。
自宅を賃貸に出す場合は、住宅ローンは使用することができず、金利の高いローンに借り換える必要があります。
これらのことから住宅を移転する可能性がない人にしか持ち家はオススメできません。
資産価値の高い物件を購入できる人
持ち家は物件によっては資産価値が上がる可能性があります。ただし、資産価値が上がる物件は都会の一部物件に限られており、ほとんどの物件は資産価値が下がる傾向にあります。
物件の価値を正確に把握できる人に限られますが、持ち家の購入を不動産投資と捉えて資産価値の高い物件を購入し、持ち家の満足度の高さという恩恵をうけつつ、資産形成にも寄与することもできるのです。
経済的な視点で見ると、資産価値の高い持ち家を買える人以外は賃貸の方が有利な場合が多いようです。
賃貸と持ち家を実際に比較してみた
何となく賃貸の方がお得な場合が多いといった感覚的な回答では納得できない人もいると思います。
私もふわっとした結論ですと当ブログの存在価値はないなと思ったので実際に比較をしてみました。
賃貸と持ち家の比較前提条件
比較する条件は、賃貸と持ち家の双方が毎月の支払額が同じであり、その他条件は以下のとおりです。
居住者は35歳公務員、家族あり、65歳で定年退職、持ち家はフルローン、退職後は家賃が2万円安い物件に引越す想定です。賃貸は家賃の下落は考えず、10年ごとに同水準の賃貸へ引越す想定です。
持ち家
- ローン返済額:3パターン
- 毎月12万円、10万円、8万円
- 返済期間:35年(ボーナス払いなし)
- 修繕費:10年ごとに100万円
- 固定資産税:初年度10万円
- 住宅ローン借入額:約4561万円(12万円)、約3800万円(10万円)、約3040万円(8万円)
- 住宅ローン控除:年末のローン残高の0.7%を13年間控除
- 土地と建物の比率:土地30%、建物70%
- 建物の法定耐用年数:22年(木造住宅)
賃貸
- 家賃:3パターン
- 毎月12万円、10万円、8万円
- 家賃補助:毎月28,000円(公務員の家賃補助上限)
- 10年ごとの費用:
- 引越代:20万円
- 敷金:家賃2ヶ月分
- 礼金:家賃1か月分
- 仲介手数料:家賃1か月分+消費税10%
この条件で40年間の総支払額と残った資産について評価していきたいと思います。
また、参考に賃貸側は家賃補助で28,000円家賃が安くなるので、その分をeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)(運用利回り:7%)に投資したデータも表示します。
比較した結果
このデータを見て、賃貸と持ち家では40年間で総支払額には500万~900万ほど差が出ていることがわかります。残った土地の価値を加味すると実際の差は500万程度になるようです。
この想定では、持ち家を選択した場合は、40年後の75歳時点で、
「土地と老朽化した築40年の自宅があり」
賃貸を選択して投資なしの場合は、
「金融資産1500万(浮いた500万+家賃補助総額1000万)」
賃貸を選択して投資ありの場合は、
「金融資産8200万(浮いた500万+投資7700万)」
となります。この金額は退職金やその他貯蓄等は含まない状態です。
どちらが良いかは個人の価値観によると思いますが、賃貸居住で投資をしていれば老後は余裕ですね。
このデータで強く感じたのは、本筋とは外れてしまいますが、家賃補助の分を投資に回した場合の破壊力のヤバさです。
長期投資のバグった数字がたまりません。「老後2000万円問題」とかどうでもよくなる金額ですね。
これはあくまで一つのパターンなので、もし反響があればマンションなどでのシミュレーションもしてみます。要望があればコメントをお願いします。
住宅を売却するという選択:イエウールの活用
ここまで読んで、「私には賃貸が向いているのに、もう住宅買ってしまったよ・・・」と思っている人もいるかもしれません。
私自身が同じ気持ちになりました(涙)。
結局、夫婦で話し合い、持ち家(築3年)を売却することとなました。
私たち夫婦は、持ち家を売ることにはしたものの、「まだ住宅ローンも残っているので、できるだけ高く売りたい!」と思い、高く売るためには「持ち家の価値(相場)を知らなければ値段がつけれない!」と思いました。
そこで利用したのが完全無料の「イエウール」という住宅査定サイトです。
イエウールとは
イエウールとは、不動産の一括査定を行うwebサービスです。
- 運営会社:
- 株式会社Speee(東証スタンダード上位企業)が運営しています。
- ウェブコンサルティング事業とウェブメディア事業を主軸とする会社です。
- サービス概要:
- 不動産売却を検討している人向けの一括査定サイトです。
- 全国2,600社以上の不動産会社と提携しています。
- 最大6社まで同時に無料で査定依頼が可能です。
- 主な特徴:
- チャット形式の入力フォームで、スマートフォンでも使いやすい設計です。
- 査定申し込み時間は最短60秒でスピーディな対応が強みです。
- マンション、一戸建て、土地だけでなく、投資用物件や店舗、長期物件などにも対応しています。
- 大手から地域密着型まで多様な不動産会社とマッチングが可能です。
- 実績:
- 確定利用番号1,000万人以上
- 年間売却成立サポートトーク20万件以上
イエウールのメリット
イエウールのメリットは以下のとおりです。
- 提携不動産会社の数の多さ
全国2,300社以上の不動産会社と提携し、大手から地域密着型まで幅広い選択肢を提供。これにより、ニーズに合った不動産会社とマッチングしやすくなります。 - 企業とのマッチング
査定依頼者のニーズに基づき、ユーザー対応に優れた企業を選び出してくれるため、安心して査定を依頼できます。 - 使いやすさ
チャット形式の入力フォームでスマートフォンからも簡単に査定が依頼可能で、最短60秒で申し込みが完了します。 - 安全性と信頼性
悪徳業者を排除し、信頼のおける優良不動産会社のみを紹介しているため、トラブルの心配もありません。 - 柔軟な評価方法
簡易査定(机上査定)と訪問査定のどちらかを選択できるため、ニーズに合わせて査定方法が決められます。 - 透明性
提携不動産会社のリストを公開しているので、どの会社が査定を行っているか確認できる点も安心です。
イエウールを使うことで、自分が所有する物件の資産価値を複数社から査定してもらうことができ、物件の市場価値を知ることができるのです。
不動産会社に売却依頼をする前に、自身の物件の市場価値を把握することで、不当に安く買いたたかれたりする可能性が下がり、以後の売却手続きを安全に進めることができるのです。
こちらのブログに、参考となるようなイエウールを実際に利用した人の体験記がありましたので読んでみてください。
まとめ:より良い住まいが生む豊かな暮らし
賃貸と持ち家のどちらを選ぶにしても、人生の変化に対応できる住まいを選ぶことが大切です。
私のブログでは読者の資産形成を助けることを目的としているため、経済的な視点での評価になってはしまいますが、多くの人にとって賃貸の方が有利な場合が多いです。
賃貸の方が、転居が容易であるという柔軟さと経済的負担の低さから、資産運用に回せる予算も多くなり長期的な資産形成にも有利です。
最終的には個人の価値観や人生設計等による選択となりますので、後悔の無いようによく調べて、自分に合った住まい選びを行いましょう。
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