FIRE(Financial Independent, Retire Early)という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。 最近、特に若い世代を中心に注目されているこの概念は、早期退職の手段としてだけでなく、人生と自由のコントロールを取り戻すための方法としても認識されています。 この記事では、FIREの基本定義と、そのさまざまなアプローチについて詳しく解説します。では、具体的にどのような種類があるのでしょうか?
FIREとは何か?
まず、FIREとは「経済的自立と早期退職」の意味です。 FIREとは、一般的なフルタイム労働で生活費を稼ぐのではなく、十分な資産を運用しながら、その運用益で生活し、自由な時間を謳歌するような生活スタイルをいいます。一般的には、FIREは年間支出の25倍の資産を形成し、その資産を「4%ルール」に基づいて取り崩しながら生活するというモデルが取られます。
このモデルを理解するために、例えば年間の生活費が300万円であれば、その25倍に相当する7500万円を運用し、その運用収益をもとに生活をするという考え方です。 、FIREは、ただ退職するための手段ではなく、人生における自由とより多くの選択肢を手に入れるための決断です。
FIREの最大の魅力は、「自由に使える時間」を手に入れられることです。 ただし、そのためには個人の目標やリスク許容度に応じた幅広いアプローチが存在します。主な6つの種類とその特徴を見ていきましょう。
1. トラディショナルファイア
トラディショナルFIREは、FIREの中でも最も一般的な方法です。たんにFIREと言われる場合はこのトラディショナルFIREを指します。この考え方では、年間支出の25倍の資産を作り、その資産を運用して生活費を賄うという、まさに「典型的な」FIREの形です。運用では、通常「4%ルール」を適用し、資産が足りなくならないように計画的に資産を取り崩していきます。
メリット:
トラディショナルFIREの最大のメリットは、バランスが取れている点です。 大きな変化を伴わないため、生活レベルを維持しながらFIRE後の生活を送ることができます。また、適切な資産運用と支出管理さえできれば、経済的に安定した老後を迎えることが可能です。
デメリット:
特に生活費が高い場合、その分準備すべき資産も多くなるため、多額の収入や長期の資産準備期間が必要になるリスクがあります。
誰に向いているか?
トラディショナルFIREは、支出管理が得意で、生活水準を大きく下げたくない人に向いています。安定した運用と支出のバランスを取りながら、ゆったりとしたFIRE後の生活を送りたい人に適したアプローチです。
2. リーンFIRE
リーンFIREは、トラディショナルFIREよりもさらに節約志向のFIREです。 生活費を極限まで抑え、必要最低限の資産でFIREを目指すため、より少ない資産でFIREが可能になります。少ない資産収入で生活費を賄うことを前提としているため、倹約的な生活スタイルになります。
メリット:
リーンFIREの大きなメリットは、目標とする資産額が小さいため、他のFIREに比べて早く達成できる可能性が高い点です。また、引退後に資産運用額が減少した場合でも、必要な資産額が少ないため、他のFIREに比べてリカバリが容易です。
デメリット:
このアプローチの最大のデメリットは、生活の質を犠牲にする必要があることです。 継続した節約を求められるため、予期せぬ出費や贅沢を楽しむ余裕が少なく、生活の豊かさが薄れるといった点では、人によって向き不向きがある選択肢となります。
誰に向いているか?
リーンFIREは、ミニマリスト的な生活を楽しめる人、物質的な豊かさにあまり価値を見出さない人に向いています。支出を厳格にコントロールしながらもFIREを目指す人に適しています。
3. ファットファイア
ファットFIREは、トラディショナルFIREとは異なり、多大な資産を築くことで贅沢な生活を維持することを目的としたアプローチです。このアプローチでは、年間支出が非常に高いため、必要な資産も非常に大きくなります。一般的には5億円以上の資産が必要といわれています。
メリット:
ファットFIREの最大のメリットは、FIRE後に特に我慢することなく贅沢な生活を維持できる点です。予期せぬ出費にも対応できる余裕があるため、経済的なストレスが少なくなります。
デメリット:
当然ながら、ファットFIREは非常に大きな資産を築く必要があり、そのために高収入が求められます。また、目標資産額に到達するまでに長い時間がかかることもあり、FIREまでの道のりが長く感じてしまうかもしれません。
誰に向いているか?
ファットFIREは、高収入を得ている人で、贅沢なライフスタイルを維持したい人に向いています。豊かな生活を送りつつ、経済的な不安を排除したいという人には、最適なアプローチです。
4. バリスタFIRE
バリスタFIREは、完全な退職ではなく、パートタイム労働やアルバイトを続けながら運用資産を取り崩して生活費を補う考え方です。フルタイムの仕事からは解放され、パートタイム労働やアルバイトの仕事をしながら生活を維持します。
メリット:
このアプローチの利点は、より早くフルタイムの労働から解放される点です。部分的な経済的自立を達成しつつ、パートタイムやアルバイトで働き続けることで、社会保険へ加入することもでき、社会的な繋がりを維持することもできます。
デメリット:
バリスタFIREは、完全な経済的自由を得られるわけではなく、労働から完全に解放されることはありません。
誰に向いているか?
バリスタFIREは、フルタイムの労働からは解放されたいが、まだある程度の収入を確保したい人に向いています。また、FIRE後に特別やりたいことがない人や社会との交流を維持したい人にも向いています。
5. コーストFIRE
コーストFIREは、早い段階で十分な資産を準備し、その後は資産運用で資産が複利の力で増加していくのを待つアプローチです。フルタイムで働き続けるものの、追加の貯蓄をする必要がなく、10年以上先に必要となる資金や老後の資金を確保するための負担が軽減されます。
メリット:
コーストFIREの最大のメリットは、貯蓄のプレッシャーから解放されるため、比較的若いうちに遊びや経験にお金を使えることができるポイントです。 さらに、長期投資で複利の力を十分に発揮することができ、経済的なストレスの軽減と、将来の資産に安心感を持つことができます。
デメリット:
このアプローチのデメリットは、初期の資産形成が大変であることと、資産が正しく成長しない場合にリスクがあることです。ただし、優良なインデックスファンドに投資した場合はそのリスクを低減可能です。
誰に向いているか?
コーストFIREは、若い頃は多くを貯蓄し、その後は自由なライフスタイルを送りたいと考える人に向いています。初期に資産を積み上げ、長期投資で老後の資産などを準備したい人に最適です。
6. サイドファイア
サイドFIREは、フルタイムでの労働から解放され、副業や小規模な事業を続けることで、ある程度の収入を確保する考え方です。 この方法では、資産運用による収入だけではなく、働き続けることで生活費を補います。
メリット:
サイドFIREは、フルタイムで働く必要がなくなるため、時間の自由を手に入れることができます。また、副業や小規模な事業など複数の収入源を持つことで、収入減に対するリスクを軽減することができます。
デメリット:
副業や事業がうまくいかない場合、収入が不安定になるリスクがあります。また、事業を維持するための労力が求められるため、資産収入以外への依存度によっては完全な自由を手に入れるには至らないこともあります。
誰に向いているか?
サイドFIREは、フルタイムから解放され、クリエイティブな活動や副業を楽しみたい人に向いています。自分のペースで働きながらも、生活の自由度を高めたいという人に最適です。
個人としてのFIREの選択
私自身は、現在、バリスタFIREとコーストFIRE、そしてサイドFIREの要素を取り入れたアプローチを実践している状況です。 私は、家族との時間を大切にしたいと考えているため、資産運用で子供たちの教育資金と私たちの老後資金を準備しつつ、フルタイムの労働からは少し距離を置く形を選びました。これにより、子育てや趣味の時間を増やしつつも、経済的な不安を感じずに生活できています。
終わりに
FIREには多様なアプローチがありますが、大切なのは自分自身の目標やライフスタイルに合わせて最適な方法を選択することです。資産形成の過程で、時には異なるアプローチを組み合わせながら、自分にとって最も持続可能で満足度の高い方法を見つけることが重要です。
最後に、FIREは経済的自由を得る手段であり、その本質は「自分で人生における選択肢を増やす」ことにあります。ぜひ、自分のライフスタイルや価値観に合ったFIREの道を見つけてください。
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